解説・豆知識
目 次
不動産登記とは
土地、建物などの不動産は、法務局というところに、登録(登記といいます)されてます。
登記されている内容は、 土地ならば、所在・地番・地目・地積、建物では、所在、家屋番号、種類、構造、床面積です。
例えば、登記記録から、以下のような情報を読み取ることが出来ます。
<土地>
所在 神戸市東灘区住吉本町1丁目 〇番
地番 〇番
地目 宅地
地積 100.55㎡
<建物>
所在 神戸市東灘区住吉本町 〇番地
家屋番号 〇番
種類 居宅
構造 木造瓦ぶき2階建
床面積 1階 50.33㎡
2階 45.11㎡
このように、不動産の外形を表す登記を「表題登記(表題部)」と言います。
次に、土地、建物に共通で、「権利の登記(権利部)」があります。
所有権を持っている人はだれか、不動産を担保にしてお金を貸している銀行はどこかなど、その不動産に対してなんらかの権利を持っている人や金融機関など、及びその権利の内容が登記されています。
所有権をもっている人については、「所有者 〇〇〇〇」と登記されています。担保にとっている金融機関の権利は、「抵当権者 〇〇銀行」、「債権額 金2000万円」などの登記がされています。〇〇銀行から2000万円借りていて、この不動産が担保にとられているということを意味しています。
登記原因証明情報 根抵当権設定(追加)
1 登記申請情報の要項
(1)登記の目的 共同根抵当権設定(追加)
(2)登記の原因 令和 年 月 日設定
(3)当事者
権利者 大阪市~~~~~
株式会社〇銀行
義務者 神戸市~~~
△△△△
(4)不動産
【追加物件の表示】及び【既登記物件の表示】のとおり
2 登記の原因となる事実又は法律行為
(1)共同根抵当権の追加設定
令和 年 月 日、登記義務者は登記権利者との間で、後記【既登記物件の表示】記載の物件に設定された根抵当権の追加担保として、後記【追加物件の表示】記載の物件の上に、下記の内容による共同根抵当権を設定した。
記
極度額 金 ーーーー 万円
債権の範囲 〇〇取引 手形債権 小切手債権 電子記録債権
債務者
神戸市~~~
△△△△
根抵当権者
大阪市~~~~~
株式会社〇銀行(取扱店 --支店)
【追加物件の表示】
所 在 □□□□□□□□□□□□□□□
地 番 □番□
地 目 宅地
地 積 □□□.□□㎡
所 在 □□□□□□□□□□□□□□□
家屋番号 □番□
種 類 共同住宅
構 造 木造合金メッキ鋼板ぶき3階建
床 面 積 1階 □□□.□□㎡
2階 □□□.□□㎡
3階 □□□.□□㎡
【既登記物件の表示】
所 在 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
地 番 〇番〇 の土地(乙区 番)
所 在 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
家屋番号 〇番〇 の建物(乙区 番)
以上、神戸地方法務局〇〇〇出張所管轄
共同担保目録(〇)第〇〇〇〇号
登記原因証明情報 根抵当権 債権の範囲
1 登記申請情報の要項
(1)登記の目的 共同根抵当権変更
(2)登記の原因 令和 年 月 日変更
(3)当事者
権利者 大阪市~~~~~
〇〇信用組合
義務者 大阪府~~~
△△△△
(4)不動産 後記のとおり
2 登記の原因となる事実又は法律行為
根抵当権変更契約
令和 年 月 日、権利者及び義務者は、令和〇年〇月〇日付根抵当権設定契約により上記不動産に設定した根抵当権(令和〇年〇月〇日大阪法務局△出張所受付第~~~~号登記済)の債権の範囲を下記のとおり変更する旨の契約を交わした。
債権の範囲
信用組合取引 手形債権 小切手債権 電子記録債権
登記原因証明情報 根抵当権 極度額
1 登記申請情報の要項
(1)登記の目的 共同根抵当権変更
(2)登記の原因 令和 年 月 日変更
(3)当事者
権利者 大阪市~~~~~
〇〇信用組合
義務者 大阪府~~~
△△△△
(4)不動産 後記のとおり
2 登記の原因となる事実又は法律行為
根抵当権変更契約
令和 年 月 日、権利者及び義務者は、令和〇年〇月〇日付根抵当権設定契約により上記不動産に設定した根抵当権(令和〇年〇月〇日大阪法務局△出張所受付第~~~~号登記済)の極度額を下記のとおり変更する旨の契約を交わした。
極度額 金~~~万円
代理人が異なるオンライン共同申請(複数署名、共同代理)
代理人が異なる1つの登記申請(例えば、権利者代理人司法書士Aと義務者代理人司法書士Bが共同で申請する所有権移転登記)を、オンライン申請で行う場合の電子署名のやり方の説明です。
・復代理でオンライン申請したいが、なんらかの理由で復代理になじまない
・復代理ではなく、共同で申請したいが法務局が遠方であるなどの理由で書面申請になじまない
このようなケースでは、代理人2名が電子署名をしてオンラインで共同申請するのが適していると思います。
具体的には、以下のような流れになります。
(権利者代理人をA、義務者代理人をBとし、Aの立場で記述します。)
【方法1】
①Aがオンライン用の申請データを作成します。
中身はこんな感じ
②決済に立会います。(ノートPC持参の前提ですすめます。)
③登記原因証明情報、登記識別情報その他の必要書類をBから受け取ります。
④その場で申請データに登記原因証明情報を添付し、登記識別情報を暗号化し、A自身の電子署名をします。
⑤AのPC上でBにも電子署名をしてもらいます。(Bは電子署名に使用するファイルとパスワードをUSBメモリなどで持参している前提です)
Bが署名しようとするとこんな画面になりますが「はい」でOK
Bの署名が完了したら確認します。
署名が2名分付与されています。(この例では私が2回署名しているので文字列が同じですが、通常は異なる文字列になります。)
ここまで完了してはじめて、登記申請に必要なものがすべて揃ったことになります。
(※ 「Bの電子署名」は【書面申請の場合にBがA作成の登記申請書に捺印すること】と同視でき、【復代理の場合における復代理委任状の交付】と同視することができます。)
【方法2】
Bが電子署名のファイルを持ち歩けない場合の方法です。
以下のように申請書のファイル(Zip形式)をメールに添付して送受信し、双方が電子署名をすることになります。
①~④は上記【方法1】と同じ
⑤Aが申請データを書き出しします(Zipフォルダになります)
↓ 「参照」でデスクトップを指定し、「データの書き出し」を押します。
↓
exportという名称のzipフォルダができました。
(フォルダの名称は使用しているソフトなどの環境により異なることがあるかもしれません。)
↓
⑥このZipフォルダをメールに添付してB(Bが指定する事務所など)に送信します。
⑦B(またはBの事務所の人)が受信したメールからZipフォルダをダウンロードします。(保存先はデスクトップなど任意の場所でOK)
⑧B(またはBの事務所の人)が申請データを取り込みます。
↓ デスクトップにダウンロードしたexportというZipフォルダを取り込みます。
取り込んだらBの電子署名をします。そして、その申請データを今度は書き出しします。(またもやZipフォルダになります)
⑩メールに添付してAに送信します。
⑪Aが受信したZipフォルダを取り込み、AとBの署名がなされていることを確認したら完了です。
(確認は【方法1】の⑤参照)
【方法3】
AがノートPCを持ち歩けない場合は、非常にやりにくいですが登記原因証明情報、登記識別情報などをスマホで撮影するなどして、Aの事務所にスタンバイしている人員と連携をとりながら各作業をすることになります。
登記の必要性と司法書士の役割
不動産は、法務局に登記されており、その登記記録(「登記簿」ということもあります)は、だれでも証明書を取得して、見ることが出来ます。
そして、この登記記録を基準にして、不動産経済は動いています。
<例1>
市町村は固定資産税を賦課するときには、登記記録に所有者として登記されている人に課税します。
<例2>
Y銀行がXさんにお金を貸す時に、不動産を担保にとる場合は、登記記録を見て、Xさんが真の所有者であることを確認してからお金を貸します。 所有者でもない人が、「私の不動産です。これを担保にするので、お金を貸してください」と金融機関にかけあっても、金融機関は相手にしません。
<例3>
Aさんが、Bさんから不動産を買うとき、Aさんは、登記記録を見てBさんのものであることを確認してからでないとお金は払えません。全然関係のない所有者でもない人にお金をはらっても無意味だからです。
このように、大前提として、不動産に関する取引はすべて登記を基準に行われます。
上の例2と3では、「現在」、「だれが所有しているか」、を登記で判断してもらい、お金を借りたり、売買代金をはらってもらうために登記が必要というわけです。次に、例2でお金を貸すY銀行は、担保にとったことを登記しなければなりません。(抵当権設定の登記)
例3でAさんは、自分が所有者になったことを登記しなければなりません。(所有権移転の登記)
登記の必要性はまさにここにあります。 理由は、例2で、Y銀行がお金を貸したのに抵当権設定の登記をしない間に、XさんがZさんに不動産を売却してZさんに所有権移転の登記をしてしまったら、Y銀行は、Zさんに何の請求もできません。無担保でXさんにお金を貸したのとほとんど同じことになるわけです。
例3も同じように、Aさんが自分が所有者になったにもかかわらず、所有権移転の登記をしない間に、BさんがCさんにも同じ不動産を売却し、Cさんに所有権移転登記をしてしまったら、不動産はもうCさんのものです。Aさんは、代金だけ払って、不動産は手に入りません。
このように不動産に関する取引は、その取引(代金を支払ったり、お金を貸すこと)と「同時に」、「その権利を登記」しなければ危険ということになります。 さらに進んで、お金を払う、またはお金を貸す側の方は、「自分の権利が間違いなく登記される」という保障がなければ、お金を払ったり、貸したりするべきではない。ということになります。 このような場面で、取引の場に立会い、「登記に必要な書類がすべて揃っていますので、登記ができます。」と、宣言し、取引を円滑に安全に進める役割を担うのが、「司法書士」ということになります。
登記が必要な場合/不要な場合
登記が必要な理由は、こちらで説明していますが、いかなる場合でも登記が必要なのでしょうか。
答えはNOです。
<登記が必要な場合>
登記が絶対に必要な場合は、とてもおおざっぱになりますが、「相手」がいる「取引」を行う場合です。
ex)
・銀行からお金を借り、不動産を担保に入れる。
・不動産を売却する。購入する。
・夫から妻へ不動産を贈与する。
・離婚した夫から妻へ財産分与として不動産を譲渡する
<登記が不要な場合>(=急ぐ必要がない場合)
逆に、「相手」がいない、または「取引」行為がない、という場合は、登記を急ぐ理由は乏しい場合が多いでしょう。
ex)
・所有者の住所が変わった場合の「住所変更の登記」
・所有者の氏名が変わった場合の「氏名変更登記」
・親が亡くなり、相続人は自分一人だけの場合の相続による「所有権移転登記」
<理由>
上記の「住所」や「氏名」が変わったような場合、所有権という権利そのものに変更があるわけではありません。 ですから、何かのついで(例えば、売却の前提としてなど)の時に行えば十分です。
親が亡くなり、相続人が自分一人だけの場合、権利を争う他の相続人がいないわけですから、この場合も何かのついで(住宅ローン完済時の抵当権抹消登記の前提や売却の前提としてなど)の時に行えば十分です。
共有物分割の登録免許税 記載方法
(特例の適用条項の記載例です)
ある土地を分筆したうえで共有物分割を原因として共有者間で相互に持分を移転するにあたり、通常の登録免許税率(1000分の20)ではなく特例による税率(1000分の4)を適用する場面でのお話です。
そう頻繁にある話ではないので、過去、特に補正等の指示がなかった書き方を備忘録的にUPしておきます。
【特例適用のある部分とない部分が併存するケース】
課税価格 移転持分課税価格
金689万5000円(登録免許税法施行令第9条)
金104万3000円
登録免許税 金 48,400 円
内訳
金689万5000円につき、金2万7580円
(別表第一 第一号(ニ)ロ)
金104万3000円につき、金2万860円
【特例適用のある部分のみのケース】
課税価格 移転持分課税価格
金689万5,000円(登録免許税法施行令第9条)
登録免許税 金 27,500 円
内訳
(別表第一 第一号(ニ)ロ)
申請用総合ソフトで、入力する方法がわからず、なぜか「内訳」として適用条項を記載していますが、特に何も言われず、、、言いたいことは伝わったのかな。
「委任の終了」は大変→「真正な登記名義の回復」
【委任の終了に代えて真正な登記名義の回復】
いわゆる地縁団体の所有地について
ある土地が、その地域の住民を構成員とする権利能力なき社団の所有でしたが、当時(明治時代)はその社団に法人格がないことから、その社団名義での所有権登記が認められず、構成員である個人11名の共有として登記されていました。
時は流れ、その名義人たちがお亡くなりになり、その各相続人らは(その土地が実体上、社団の所有に属するものであるという事実を知らず、または知っていた人もいたかもしれないが、)相続による所有権移転登記を経由してきました。(11人全員につき相続または家督相続が発生しており、それぞれの名義人について複数回の相続による所有権移転登記が経由されていました)
現在は、その社団は市の認可を受け、正式に法人格を取得しています。(法人格取得は平成になってから)そして、この度、この土地をその(法人格を取得した)社団名義に変更したいというのが目的です。
ここで、本来なされるべき登記手続きを考えると、当初の社団構成員であった11名については例え死亡したとしても相続財産ではないのだから相続による所有権移転登記はなされるべきではなかったはずです。しかし現実はその相続による所有権移転登記がなされてしまったわけですから、これらの所有権移転登記は抹消されるべきものです。
そうすると、何世代も前の名義人に完全に戻すまでの所有権抹消登記を行い、その後の構成員変動などによる権利移転登記を経て、やっと当該社団に移転登記ができることになるわけです。これには、相当の人数が関与することになるうえに、戸籍等の収集も困難を極めます。
協力してくれない人が一人でもいたら暗礁にのりあげます。
そこで、なにかと敬遠されがち(?)な「真正な登記名義の回復」で申請し、無事に「無効な所有権移転登記の抹消に代えて」受理していただきました。
ケースバイケースではあるでしょうが、登記原因証明情報の一部を掲載しておきます。
なんかちょっと主張すべきことがずれている気がしないわけでもないです。
同業者の方は、大きな心で見てやってください。
------------------------------
2 登記の原因となる事実又は法律行為
(1)本件土地の所有関係
本件土地は、明治時代より、本件土地を含む一帯区域に住所を有する者らの地縁に基づいて形成された団体(いわゆる自治会)が所有していたものであるが、当該団体が権利能力のない社団であったため、当該団体の構成員全員の名義をもって所有権の登記を経由していた。(ただし、上記団体は平成〇年〇月〇日、□□市の認可を受け、〇〇自治会という名称の認可地縁団体となった。)
(2)無効な所有権移転登記手続きの経由及びその是正方法
本件土地は上記のとおり、実体上、〇〇自治会に属しており、当初の団体の構成員であった登記名義人らの財産ではない。したがって、各登記名義人が死亡した場合には、委任の終了を登記原因として、他の構成員またはあらたに構成員となるべきもの、若しくは上記平成〇年〇月〇日以降においては〇〇自治会に対して所有権移転登記をすべきであったところ、誤って、全登記名義人について相続または家督相続等を登記原因とする所有権移転登記が経由されてしまったため、実体と合致しない無効な登記記録となっている。
上記の経緯から、本来であれば、これまでになされた相続及び家督相続を原因とする所有権移転登記は、これらをすべて抹消したうえで、あらためて委任の終了を登記原因とする所有権移転登記をするべきである。
しかしながら、この方法によると、当初の登記名義人であった団体の各構成員らのすべての法定相続人が登記手続きに関与する必要があるため、膨大な量の戸籍謄本等の収集を伴う相続人らの存否調査のうえ、すでに遺産分割協議が成立して相続関係から離脱した相続人らも含めた「全相続人」に登記手続きの協力を要請しなければならない。
なんら争いのない権利関係を公示するだけの目的に対して、現登記名義人らの負担はあまりに大きく、著しく経済的合理性を欠く。
(3)よって、現登記名義人たる登記義務者(登記義務者が死亡している場合にあってはその法定相続人)は、登記権利者たる〇〇自治会に対し、本件不動産の共有持分全部を、真正な登記名義の回復を原因として移転する。

日本政策金融公庫の抵当権設定
日本政策金融公庫から借り入れを行う場合、不動産を担保にするいわゆる【抵当権設定登記】を求められることがあります。
不動産の登記手続きは一般の方にはなじみがなく、とっつきにくいものですが、日本政策金融公庫の融資は、この抵当権設定登記が完了したことの証明書などを提出してはじめて貸付が行われるため、登記手続きを放置していてはいつまでたっても融資が実行されません。
当事務所では、ご依頼いただいた日もしくは翌日には登記を申請するよう心がけております。お急ぎの方はご検討ください。なお、必要書類や料金などは、以下のとおりです。
【必要書類】
● 日本政策金融公庫から交付された契約書類一式
● お客様の印鑑証明書
● お客様の権利証(または登記識別情報通知)
● お客様の本人確認書類(免許証など)
【料金】
● 登記情報取得費用 不動産1個につき334円
● 登記完了後の証明書 不動産1個につき480円
● 書類の郵送料 1,560円
● 司法書士報酬 46,200円(消費税込)
● 登録免許税 原則0円(債務者が資本金5億円以上の会社である場合は除く)
※ 債務者と物件の所有者が異なる場合はあらかじめその旨お知らせください。
お問い合わせはお気軽にどうぞ!
電話 078-955-2958(タップで電話がかかります。非通知は解除してからおかけください)
あべ司法書士事務所
遺産分割協議で抵当権の債務者変更
抵当権の債務者が死亡し、複数名の相続人のうちの1名に債務者を変更したい場合は、①債務引受契約による方法、②遺産分割協議による方法が考えられます。
今回は、遺産分割協議による方法を担当しました。
具体的には、相続を原因として、特定の1名を債務者とする抵当権変更登記となり、報告的登記原因証明情報として以下の内容で提供しました。
1 登記申請情報の要項
(1)登記の目的
1番 抵当権変更
(2)登記の原因
令和〇年2月2日相続
(3)変更後の事項
債務者 神戸市~~~
□□□□
(4)当 事 者
権利者 大阪府~~~
△保証株式会社
義務者 神戸市~~~
□□□□
神戸市~~~
■■■■
(5)不 動 産 後記のとおり
2 登記の原因となる事実又は法律行為
(1)令和〇年2月2日、本件抵当権の被担保債権の債務者●●●●は死亡した。
(2)被相続人●●●●の相続人は下記の通りである。
神戸市~~~
□□□□
神戸市~~~
■■■■
(3)令和〇年3月3日、相続人□□□□および■■■■は、上記債務を□□□□が相続する旨の遺産分割協議を成立させた。
(4)令和〇年3月10日、△保証株式会社はこの遺産分割協議の内容を承諾した。
(5)よって、本件抵当権の債務者は、被相続人の相続開始の日にさかのぼって□□□□に変更された。
代理人が異なる連件申請の前件添付や援用
例えば、所有権移転登記を担当する司法書士がA、抵当権設定を担当する司法書士がBのような場合です。(後件の抵当権設定登記には、前件の登記により発行される登記識別情報の提供が必要になるわけですが、連件として処理してもらわないと、所有権移転登記が完了したのち、B司法書士がA司法書士から登記識別情報を預かって追加提供しなければならないという面倒臭いことになります。住宅用家屋証明書なども同じことになりますかね。しかし、そもそもそのようなやり方はまず採用しません。)
<オンライン申請の場合>
その他事項欄に以下のように記載することにより援用が可能です。
Aの申請書
「本件所有権移転登記と、令和 年 月 日付で後に申請される抵当権設定登記(代理人司法書士B)とは連件扱いとされたい。」
Bの申請書
「本件抵当権設定登記と、令和 年 月 日付受付第 〇〇 号(代理人司法書士A)の所有権移転登記とは連件扱いとされたい。」
神戸管内ではこれまでなんの問題もなく援用を認めてもらっていたと記憶していますが、「大阪は援用できない」との噂があったため、今回電話で照会してみました。
電話対応してくださった大阪法務局の方によれば、「原則は援用できないが、便宜的に認めている」とのことでした。
原則どおりの運用しかしていない法務局があったら、それは大変なことですが、、、
全国統一で「援用可」としてほしいものです。
夫婦間の居住用不動産贈与と持戻し免除の推定
第903条 第4項
婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第1項の規定(持戻し)を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。
民法改正により加わった条項(2019年7月1日施行)です。
婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産の贈与があった場合、一定の条件のもと、贈与税につき特別控除を受けることができる特例があるため、過去、この特例を利用して多くの生前贈与が行われたと思います。
しかし、その際「相続における持戻しを免除する」との意思表示があわせてなされているケースなどほとんどないでしょう。
(「持戻し」の説明はページ下部にあります)
結果として、過去行われた贈与のほとんどは、持ち戻しの対象となるため、配偶者が贈与を受けた居住用不動産が高額である場合には、相続財産全体に対する配偶者の相続分が大きく減額されるということになってしまいます。
これでは多くの場合不都合なので、法改正により、上記のような贈与にあっては贈与者が「持戻しを免除する」との意思表示をしたものと推定するとの規定となりました。
したがって、今後の贈与においては贈与の時点で特別な意思表示をしない限り、贈与者は持戻しを免除したものと取り扱われるので、相続時点において、より配偶者の保護が厚くなるということになります。(ただし、他の相続人にとっては具体的な相続分は減少するので不公平感があるかもしれませんんが...)
なお、過去に行った贈与についても、贈与者が「持戻し免除」の意思表示をしておきたい場合、方式は特にありませんので適宜の方法で意思表示をすればよいものと考えられます。
具体的には相続人らの将来の争いを避けるため遺言書その他の書面で意思表示を行うのが適切かと思われます。
※「持戻し」の説明
「持戻し」とは、贈与者が死亡したときの相続財産の価額に、生前に贈与した財産の価額を加えたものを相続財産とみなして法定相続分を計算する、そして贈与を受けた相続人はその法定相続分から贈与を受けた財産の価額を控除した残額のみ相続できるとするものです。
「持戻しを免除する」ということは、簡単に言うと、贈与者が死亡した時の相続財産の価額に、生前に贈与した財産の価額を加えなくてもよい、つまり贈与を受けた相続人は、贈与財産をもらったうえで、相続財産も通常の法定相続分で相続できるということになります。
合筆後の登記識別情報の提供について(乙区)
甲市乙町100番(土地)
甲市乙町101番(土地)
甲市乙町102番(土地)
上記土地3筆に抵当権を設定(令和1年6月1日 受付第30000号)
↓
その後101番と102番が100番に合筆され登記簿閉鎖
100番の土地の抵当権の欄には「~番登記は合併後の土地の全部に関する」との付記登記がある。
↓
さらにその後100番を分筆し、100番1、100番2、100番3の3筆となる。
↓
この時点で抵当権を抹消する際は、
・抵当権者からは100番、101番、102番についての登記識別情報通知合計3枚(いずれも令和1年6月1日 受付第30000号)を預かることになるが、登記申請において提供する必要があるのは、100番の土地についての登記識別情報1枚で足りる。
・具体的に識別情報暗号化の画面では、100番1、100番2、100番3の土地3筆を表記し、いずれも100番の登記識別情報通知に記載された情報を暗号化することになる。
上記のように甲区の所有権の場合とは取り扱いが若干異なるので注意が必要
抵当権者の変更証明書
何年も何十年も前の抵当権設定登記では、抵当権者の商号が当時の古い商号で登記されていることがあります。
そして、この抵当権を抹消する場合、以前は、現在の抵当権者の商号と当時の商号に連続性があるものであることを示す証明書を提出しなければなりませんでしたが、現在は、商業登記のオンライン化が進んだため、会社法人等番号を記載することによって、変更の証明書を提出する必要はなくなりました。
しかし、その会社の登記簿のコンピューター化より前に生じた商号変更などは、コンピューターに記録されていないため、例外的に上記の取り扱い(変更証明書の添付に代えて会社法人等番号を記載する方法)ができないことがあります。
実務に携わっていると、「この変更はコンピューターに記録されているのだろうか、されていないのだろうか。。。」と悩むことがあります。今後のこの迷いを解消するために備忘録として記録していきます。
合併証明書 さくら銀行、住友銀行、わかしお銀行(三井住友銀行)
(1)株式会社住友銀行が株式会社三井住友銀行に商号変更(平成13年4月1日)
(2)株式会社三井住友銀行が株式会社さくら銀行を吸収合併(平成13年4月2日)
(3)株式会社わかしお銀行が株式会社三井住友銀行を吸収合併(平成15年3月17日)
※ 合併後の存続会社の商号は株式会社三井住友銀行
合併証明書の抜粋は以下のとおり
住友銀行1ページ目
住友銀行最後のページ
わかしお銀行 その1
わかしお銀行 その2
今回私が担当したのは、株式会社住友銀行の根抵当権について合併を原因とする根抵当権移転登記でしたが、登記申請書には以下のように会社法人等番号を記載することにより証明書の添付は省略しました。
【根抵当権者の欄】
(被合併会社 株式会社三井住友銀行)
東京都千代田区丸の内一丁目1番2号
株式会社三井住友銀行
代表取締役 〇〇〇〇
会社法人等番号 010001008813
【その他事項の欄】
被合併会社株式会社三井住友銀行の会社法人等番号0100-01-008850
遺言書が必要なケース
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以下のような場合は、ぜひ遺⾔書の作成をご検討下さい。
≫ ⼦供・配偶者がいない場合 |
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≫ ⼦供たちはいるが仲が悪い |
私が亡くなった後は遺産を めぐって争いになるのでは。。。? 相続⼈である⼦供たちが、遺産分割協議がまとまらず、お互いに弁護⼠に依頼して、⻑い年⽉をかけて調停をしているなどということはよくあります。このようなことが想定される場合には、あらかじめ遺⾔書を作成し、各相続⼈に相続させる財産や割合を決めておくことが有効です。各相続人の遺留分さえ侵害しないよう配慮すれば、相当の争いを予防する効果があります。 |
≫ 再婚し,先妻との間に⼦がいる場合 |
⼀般的には、先妻との間の⼦と、再婚した後妻が仲良く話合いができることは少ないでしょう。この場合にも、「後妻だけに相続させてやりたい」⼜は、「先妻との間の⼦供たちと後妻が話し合いをするような場⾯は作らないでやりたい」という場合は、遺⾔書が有効です。 この場合、先妻との間の⼦と後妻は、双⽅とも遺留分がありますので、この遺留分を侵害しない内容である限り、遺産分割協議をしなくても財産を相続することができます。 逆に、「後妻だけに全財産を相続させる」というような場合、先妻との間の⼦が遺留分を主張することができるため、これに配慮しつつ慎重に進めなければなりません。 |
≫ 内縁の妻に相続させたい場合 |
内縁の妻、内縁の夫は、互いに相続権がありません。このように、⽇本の法律では、婚姻届を出しているかどうかで⾮常に⼤きな差があります。 婚姻すれば相続権を与えることにもなりますが、何らかのご家庭の事情により婚姻届が出せないこともあるでしょう。そのような場合は、遺⾔書を作成し、「遺贈」しておくことが必要です。 遺⾔書を作成しないまま亡くなってしまった場合には、⼿⽴てはほとんどありません。(本来の相続⼈が相続放棄をすれば「特別縁故者」として財産分与の申⽴てをすることができますが、確実ではありません。)すなわち、残された内縁の配偶者は⼀切権利がないのです。 |
≫ 息⼦・娘に財産を渡したくない場合 |
ご家庭の事情によっては、親⼦間の関係が良くなく、どうしても⾃分の財産を⼦供に渡したくないという場合もあるでしょう。このような場合も遺⾔書を残すことによっ て、配偶者や、お⼦さん以外の第三者などに「遺贈」することができます。 この場面では、お子さんの「遺留分」が問題となりますが 、遺⾔を残さないよりはずっと良いかも知れません。 なお、⼦から親への虐待や、重⼤な侮辱を与える⾏為もしくは著しい⾮⾏など、いわゆる親不孝な⾏為があった場合などは、その⼦(⼦に限りませんが)から相続権を完全に奪うことも遺⾔で可能です。この制度を「廃除(はいじょ)」と⾔い、家庭裁判所へあらかじめ申し立てすることが必要です。 |
≫ 相続⼈がまったくいないような場合 |
配偶者、⼦、親、兄弟姉妹などすべて存在しない場合、その⼈の財産は国のものとなります。 せめて世話になった⼈に渡したいなどの思いは遺⾔を作成することで実現できます! |
公正証書遺言のメリットとデメリット
メリット(公正証書) |
1. 偽造・変造の可能性がありません 公証役場で遺⾔書の原本を保管するため、 誰かが偽造したり変造したりすることは不可能です。親族が⾃分に都合のいいように内容を書き換えることは絶対にできません。 2. 法的に内容に疑義が⽣じる可能性がほとんどありません 法律に精通した公証⼈が関与して作成するため、内容が完璧なも のとなります。将来、残された相続⼈がこの遺⾔書を提出していろいろな⼿続きを⾏う際にも、⾮常にスムーズに進めることができます。文章の意味や解釈に疑問が残ることもまずありません。 3. 遺⾔書の検認という⼿続きが省略できます(メリット大) ⾃筆証書で遺⾔書を作成した場合と異なり、家庭裁判所での検認⼿続きが不要なため、この遺⾔書を利⽤して、ただちに名義変更などの⼿続きに⼊ることができます。このメリットが特に⼤きいです! |
デメリット(公正証書) |
1. 遺⾔書を作成するのに費⽤がかかります 遺⾔書に記載する財産の価格に応じて、公証⼈⼿数料を⽀払わなければなりません。(財産が高額になるほど手数料は高額になります。) 財産の価格がどれくらいかがわかれば、事前にいくらぐらいかかるかお調べできますので、お気軽にお問い合わせください。(参考⇒公証人手数料) 2. 証⼈2名が必要 公証⼈以外に「証⼈」が2名必要となります。証⼈は、公証役場で遺⾔書を作成する場に⽴ち会い、作成した遺⾔書の原本に署名捺印することになります。 専⾨的知識は必要ありませんが、ご⾃⾝のお⼦様や配偶者など、将来相続⼈になる可能性のある⽅は証⼈にはなれません。 当事務所では、証⼈になることもお引き受けしておりますので、必要であればご利⽤ください。 3. 遺⾔書の内容を(証⼈に)知られる ⾃筆証書で遺⾔書を作成する場合と異なり、少なくとも証⼈2名には遺⾔書の内容を知られてしまいます。 しかし、そもそも証⼈となるのが司法書⼠であれば、⾚の他⼈にすぎませんし、内容を秘密にしておきたいという場合はほとんどないでしょう。 やはり証⼈は、知⼈などになってもらうより、当事務所の司法書⼠にご⽤命いただくことをお勧めします! |
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自筆証書遺言のメリットとデメリット
メリット(自筆証書) |
1. 誰にも知られずに、ご⾃⾝おひとりで作成できます 2. 作成に費⽤がかかりません 必要なものは、ボールペン、⽩紙、 印鑑(認印でも可)だけです。⾮常に気軽に作成できます。 3. いつでも費⽤をかけずに内容を変更できます 作成した遺⾔書に間違いがあったり、内容を変更したいときには、いつでもあたらしい遺⾔書を⼿軽に作成しなおせます。 なお、同じ⼈物が書いた遺⾔書が2通以上あるときは、もっとも新しいものが有効となります。 |
デメリット(自筆証書) |
1. 遺⾔書の検認⼿続きを受けなければなりません 遺⾔をした⽅が死亡したあとの話ですが、残された相続⼈が この遺⾔書を使って名義変更の⼿続きなどをしようとする場合、まず最初に家庭裁判所に「遺⾔書の検認申⽴て」を⾏う必要があります。死亡した⽅の⼾籍謄本などを⼀式取り揃えて家庭裁判所に提出し、後⽇、相続⼈全員を裁判所に呼び出すこととなります。 そもそもこの検認申⽴ての⼿続き⾃体、裁判所への提出ということもあり厳格です。当事務所では、検認申⽴書の作成提出及び⼾籍謄本の収集なども承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。(遺⾔書検認⼿続きの説明はこちら) (ただし、2020年7月10日から導入される「法務局で遺言書を保管」する制度を利用する場合は検認手続きが不要となります) 2. 偽造・変造される可能性は否定できません 作成した遺⾔書を⼤事に保管していても、親族がこれを⾒つけ、無断で書き加えることも可能性がないわけではありません。 お⼦様たちが不仲であったりすると、遺⾔書の内容に納得できない⽅が、⾃分に有利な内容に書き加えるようなことも考えられます。自宅等での保管は特に厳重にする必要があります。 3. 書き⽅が正確でなければなりません 必要事項は正確に記載しなければなりません。 たとえば、作成した⽇付がなかったり、「令和2年3⽉吉⽇」など、⽇付を特定できない書き⽅では遺⾔書は無効となります。書き方があいまいで預貯⾦の特定ができない場合や、「神⼾の⾃宅、⼤阪の貸家」など、地番の記載もない書き⽅では、不動産を特定できず、まったく役にたちません。 このように、せっかく作成した遺⾔書が役に⽴たないことにもなりかねないので、書き方には⼗分にお気を付け下さい。 (なお、2019年1月13日からは、遺言書に添付する財産目録をパソコンなどで作成できるようになりました。それまでは自筆証書遺言は、全文を手書きで自書しなければなりませんでしたが、「財産目録」については、手書きでなくてもOKとなったわけです。遺言書本文は、これまでどおり手書きで作成しなければなりませんのでご注意ください。) |
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お手軽 自筆証書遺言 ひな形
公正証書遺言を作成するには多少の時間と手間がかかります。
公証人との打ち合わせ、作成する内容の吟味、証人の確保など、意外とやるべきことは多いのかもしれません。
そんなとき、「今すぐに」、「とりあえず」、「無料で」、自筆証書で作成しておくのは有効な方法です。
例えば、子供さんがいないご夫婦が、お互いに、自分がなくなった時には全財産を配偶者に相続させたいと希望されることはよくあることです。(遺言を残していないと、将来、自分の兄弟姉妹もしくは甥、姪と自分の配偶者が遺産分割の話し合いをしなければならない場合があります)
そんな時は、以下のような遺言書を作成しておけば、まずは一安心ではないでしょうか。
<書き方 サンプル>
遺言書
私は全財産を配偶者である甲山乙子(昭和20年3月3日生)に相続させる。
令和2年1月1日
兵庫県神戸市〇〇町1番1号
甲山乙男 印
※自筆で書く必要があり、最後に捺印が必要ですが、所要時間は3分もあれば十分ですね。
遺留分と遺留分侵害額請求権(簡易まとめ)
【遺留分】
» |
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、Aの価額に、Bの割合を乗じた額を受ける。 A=(相続開始時の財産の価額)+(贈与した財産の価額)―(債務の全額) B= 直系尊属のみが相続人の場合は3分の1、その他の場合は2分の1 ※ 相続人が数人ある場合には、さらに各自の法定相続分を乗じる |
※ Aの(贈与した財産の価額)について、 相続人以外に対する贈与の場合は、相続開始前1年間にしたものに限る。 相続人に対する贈与の場合は、相続開始前10年間にした贈与で婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本としてした贈与に限る |
【遺留分侵害額の請求】
» | 受遺者又は受贈者は、遺贈又は贈与の目的の価額を限度として、遺留分侵害額を負担する。 |
» | 受遺者と受贈者とがあるときは、受遺者が先に負担する。 |
» | 受贈者が複数あるときは、後の贈与による受贈者から順次、前の贈与による受贈者が負担する。 |
» | 受遺者が複数あるとき、又は受贈者が複数ある場合においてその贈与が同時にされたものであるときは、受遺者又は受贈者がその目的の価額の割合に応じて負担する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。 |
» | 受遺者又は受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰する。 |
» | 遺留分侵害額の請求権は、①遺留分権利者が、「相続の開始」及び「遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったこと」を知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。②相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。 |

認知症と不動産売却
認知症、統合失調症、知的障がいなどで自分の意思を表示できない方の名義の不動産を、家族が代わりに売却したい・・・
いろいろな事情があって、このような場面に遭遇することがあると思います。
例えば、
・認知症のおばあちゃんを施設に入所させてあげたい
・認知症のおじいちゃんの医療費や生活費の支払いにあてたい
・売却処分したい不動産が、認知症の方との共有名義になっている etc…
このような場合、そのままでは、法的には売却処分することは出来ません。理由は単純で、認知症などの方は、「売却する」との意思を表示することが出来ないからです。
では、どうすればいいのでしょう。
ここで利用されるのが、成年後見(せいねんこうけん)制度です。成年後見制度とは、認知症などの方(「本人」と言います。)の法律上の代理人となる成年後見人(せいねんこうけんにん)を選び、この成年後見人が、本人の財産を管理、処分するという制度です。正式に成年後見人が選ばれたら、認知症の親の不動産を売却することも可能となります。(※ただし、いかなる場合も無条件に売却していいというものでありませんので、ご注意ください!!)
さまざまな事情から、今、成年後見制度を利用する方が増えています。超高齢社会の現在、成年後見制度は、だれにとっても身近な制度になりつつあります。当事務所では、成年後見人選任の申し立てから不動産売却などのサポート、ご希望に応じて成年後見人に就任することもお引き受けできますので、お気軽にご相談ください。
TEL 078-955-2958
担当 阿部
不動産売却でお悩みの成年後見人(ご家族)の方へ
ご本人(成年被後見人)が所有している不動産を売却する場合、成年後見人であるご家族がご本人に代わって売却の一連の手続きを行うことになります。
<売却の一般的な手順>
1 売却する不動産の査定
2 不動産仲介業者と媒介契約を締結
3 不動産仲介業者にて販売活動開始
4 購入希望者から買付けの申込み
5 家庭裁判所に対して「居住用不動産処分許可」の申立て
6 家庭裁判所が許可の審判
7 売買契約締結
8 代金の授受及び不動産の引き渡し、登記の名義変更手続き
(※5、6は売却不動産がご本人様の居住用の不動産である場合に必要)
不動産屋や司法書士の知り合いがいない場合、結構大変な作業になります。
そこで・・・・・
<当事務所でお手伝いできること>
・査定書の取得(無料)
・不動産仲介業者のご紹介(無料)
・家庭裁判所へ提出する書類の作成
(当事務所手数料約5万円)
・名義変更登記手続き
(当事務所手数料約3万円)
つまり、成年後見人ご自身が手続きをしなければならないのは、手順の2と7、そして最後の8の立会いのみとなります。
(お一人では不安だという方には、不動産業者との打ち合わせ、契約などの場面に同行できますのでお気軽にご用命ください)
<こんなお悩みを解決できます>
不動産屋さんの知り合いがいない
» 誠実に取り組んでくれる仲介業者さんをご紹介できます
司法書士の知り合いがいない
» 当事務所がお手伝いします
裁判所に提出する書類が分からない
» 当事務所がお手伝いします
私自身、多数の方の成年後見人として就任しており、不動産売却経験も豊富ですので、お力になれると思います。
不動産の売却でお悩みの成年後見人の方は、ぜひご相談下さい。
電話 078-955-2958(タップで電話がかかります。非通知は解除してからおかけください)
あべ司法書士事務所
投資信託の相続、名義変更、売却の手続き
一般的に、被相続人が保有していた投資信託を売却して換金するためには次のような手順をふむ必要があります。(相続人が自分で手続きをする場合)
1.被相続人が証券口座を開設している証券会社(または銀行その他の金融機関)へ死亡の連絡
2.相続手続きに必要な書類を収集し、証券会社へ提出(なお、相続人がその証券会社にいわゆる証券口座を開設していない場合は、相続人名義であらたに証券口座を開設する必要あり)
3.被相続人の証券口座から相続人名義の証券口座へ商品(保有している投資信託)を移管(※被相続人の口座を引き継ぐわけではないので厳密には名義変更ではありません)
4.相続人名義の口座への移管が完了したら相続人が売却したいタイミングで売却可能(保有し続けることも可能)
司法書士が遺産整理受任者としてこれらの手続きを行う場合は、司法書士がすべてを代理できるケースとできないケースがあります。これは相手方である証券会社(または金融機関)ごとに取り扱いが異なることがあるためです。それぞれの手続きは以下のとおりです。
<司法書士がすべてを代理できないケース>
司法書士がご依頼者様との間で正式に遺産整理業務委託契約を締結し、委任状にも投資信託の解約、受渡、相続移管、売却など一切の行為を記載しているにもかかわらず、上で述べたような「一般的」な取り扱い(すなわち相続人が相続人名義で証券口座を開設するところからのスタートとなる)しかできない金融機関があります。
結局、この場合は、司法書士は必要書類を収集することのほか、相続人ご本人が口座開設その他の手続きのため窓口に出向くのに付き添うことぐらいしかできず、相続人のご負担を大きく軽減することはできません。
しかも、某信用組合の取り扱いでは、必ず窓口に相続人が出向かないといけないらしく、仮にお住まいが遠方だったらとか、仮に体が不自由で出向くことができないというようなお客様だったらどうするのでしょう。投資信託は日々基準価格が変動するものですし、値下がりの不利益はどのように考えているのでしょうか。このように代理制度、遺産整理業務を真っ向から否定する金融機関もありますので注意が必要です。
<司法書士がすべてを代理できるケース>
司法書士名義で証券口座を開設し、被相続人名義の証券口座から司法書士名義の証券口座へ保有商品を移管し、ただちに売却となります。相続人が窓口へ出向く必要がなく銀行預金の解約のイメージに近いと思います。上で述べたような「相続人名義での証券口座開設」は不要となります。某大手証券会社、某銀行系列の証券会社などはこの取り扱いでした。
なお、相続人の方が売却を希望せず、保有し続けたいという場合は、一般的な原則にもどり、相続人名義で証券口座を開設し、そこへ移管してもらう必要があります。司法書士名義の証券口座では保有という概念はありえませんから当然ですね。
被相続人の住所が不明の場合 相続放棄の管轄
事案の概要
A市内に存在する不動産の所有者Ⅹが死亡した。
Ⅹの相続人は父Yである。
その後Yが死亡し、その相続人はめいにあたるZである。
今回、相続放棄をしたいと考えているのはZであり、被相続人は、Xから不動産を相続した(と考えられる)Yである。
ことの発端は、ある日、Zの自宅に、A市役所から「空家等立入調査等実施通知書」と題する書面が届いた。
Zはその書面に記載されている「登記簿上の所有者」:「Ⅹ」という名前にまったく心当たりがなかったが、戸籍等を取得していくうちに、上記の親族関係が明らかとなった。
ここで、相続放棄は、「相続が開始した地を管轄する家庭裁判所」に申述しなければなりません。
管轄に関して定める家事事件手続法第3条の11、第4条を簡単にまとめると、以下のようになります。
● 被相続人の住所又は居所が日本国内にあるときはその住所地または居所を管轄する家庭裁判所
● 居所がない又は知れない場合には最後の住所地(ただし日本国内でなければならない)を管轄する家庭裁判所
しかし、Yの住所地を調査するも、死亡したのが10年以上前であり、戸籍の附票が廃棄されていたためYの住所に関する情報はまったく得ることができませんでした。(居所に関する情報も皆無)
そこで、家事事件手続法第7条を簡単にまとめると、
● 管轄が定まらないときは、
①審判又は調停を求める事項に係る財産の所在地
又は
②東京家庭裁判所
の管轄に属するとされています。
今回は、「相続放棄」であり、本来、「ある特定の財産」との関係を断つために審判を求めるものではありませんが、本件では、被相続人に属する財産の一部としてこの不動産が存在し、逆にこれ以外の財産の存否が不明なため、申述人の相続放棄における主目的は、この不動産に関する権利義務からの解放に尽きるとも言えます。
よって、「審判又は調停を求める事項に係る財産の所在地」を管轄する家庭裁判所に申述をし、無事、受理されました。
生命保険、家族信託と遺留分の関係
家族信託を設定するうえで、気を付けなければならないのが、遺留分です。
一部の推定相続人の相続分を剥奪してしまうような信託契約を、すべて一律有効と考えることはできません。
将来の相続人間の紛争を未然に防ぐためにも、遺留分は考慮すべき重要なポイントになります。
1.生命保険と遺留分の関係
<問題点>
被相続人を保険契約者及び被保険者とし、推定相続人の一部の者を受取人とする保険契約に基づいて、被相続人が死亡した場合に受取人が受け取る死亡保険金は遺産を構成するか。
<裁判例>
最高裁判決の考え方(以下、要旨)
(原則)生命保険に基づき受取人である相続人が取得する死亡保険金請求権は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産にはあたらない
→ つまり遺留分算定にあたっての遺産に含めないということになります。
(例外)保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいと評価すべき特段の事情が存する場合には、903条の類推適用により特別受益に準じて持戻しの対象となる
2.家族信託と遺留分の関係
<問題点>
受益者連続型の信託契約において、一部の推定相続人の遺留分を侵害することとなるような受益権の定めがなされることにより、その推定相続人は遺留分を主張できなくなってしまうのか。
<裁判例>
東京地裁判決(以下、要旨)
信託契約のうち、一部の相続人Aにとって実質的な経済的利益を享受できない不動産を目的財産に含めた部分は、遺留分制度を潜脱する意図で信託制度を利用したものであって、公序良俗に反して信託が無効
信託契約のうち、相続人Aが実質的に経済的利益を享受できる信託財産に関する部分は有効
遺留分減殺の対象は、信託目的達成のために形式的に所有権移転される信託財産ではなく、実質的に権利として移転される受益権とすべき
3.結論
これらから、生命保険の死亡保険金請求権、信託契約に基づき受益者に与えられる受益権は、いずれも遺留分(侵害額請求)の対象となると考えるのが適切のようです。
会社名にローマ字などを使用することの可否
(以下、一部法務省のページを抜粋しています。)
以下の記号などはすべて使用可能です。
(1)ローマ字(大文字及び小文字)
(2)アラビヤ数字
(3)「&」(アンパサンド)
「’」(アポストロフィー)
「,」(コンマ)
「-」(ハイフン)
「.」(ピリオド)
「・」(中点)
<ご注意事項>
(3)の符号は,会社名の先頭又は末尾には使用できません。
ただし,「.」(ピリオド)については,末尾には使用できます。
ローマ字を用いた単語と単語の間を区切るために空白(スペース)を用いることができます。

会社の商号:錯誤による更正登記(会社名を間違えた!)
(当事務所の経験談です)
<パターン1>
定款は正しい。登記申請の際に司法書士が入力を間違えた。
この場合は、登記官の方が気付いてくださったら、申請書の補正で済みます。
仮に登記が完了したあとでも錯誤が明らかなので、更正登記はすんなりいきそうです。
<パターン2>
定款が間違っている。そのまま登記申請したがまだ登記完了していない。
この場合は、登記を補正する旨登記官に連絡をしたうえで、公証人から誤記証明書をもらったうえで、登記申請を補正する。
<パターン3>
定款が間違っている。そのまま登記申請し、完了し(てしまっ)た。。。
書類引き渡し後、ご依頼者様から、「ごめ~ん、なんか会社名間違えて伝えてた。。。」
…。
会社成立後の定款については、これを変更または訂正(訂正も広い意味では変更?)するには、もっぱら株主総会決議によるものと考えておりましたが、担当の登記官のご見解では、公証人の誤記証明書があるのであれば、やはりそれは誤記であり、株主総会の関与を求める場面ではない。という趣旨のものでした。公証人に事情を説明したところ、誤記証明書を発行してもらい、無事に更正登記を申請できました。
この時の申請には、委任状、上申書、誤記証明書を添付しましたが、登記官から発起人の印鑑証明書も求められました。
この時に添付した上申書の内容は以下のとおりです。
錯誤に関する上申書
ーーー法務局 登記官殿
令和ーー年ーー月ーー日付で公証人の認証を受けた当会社の定款につき、商号を「株式会社ーーー」と表記すべきところ、誤って「株式会社〇」と表記し、当該誤記を発起人及び取締役の全員が看過したまま設立登記が完了するに至りました。
以上のとおり、当会社の商号につき明白な錯誤があったため、本更正登記を申請する次第です。本申請をご受理下さいますよう何卒お願い申し上げます。
令和 年 月 日
株式会社ーーー(更正前の商号:株式会社〇)
代表取締役 ---- 印
発 起 人 ---- 印
発 起 人 ---- 印
ごくまれにしか生じない錯誤ですが、今後もないとは言えないので、、、UPしておきます。
同じケースに遭遇された場合は、念のため所轄法務局にご確認くださいね。